腸内フローラの基礎知識

腸内細菌からコレラ菌発見 先駆者・貢献者

 


「アントニ・ファン・レーウェンフック」 出典:ウィキペディア

 

オランダのレーウェンフックが自分で作った顕微鏡で腸内細菌を発見してから、コッホの純粋培養まで2世紀以上もかかりました。1900年初頭までは人類は有毒な細菌に苦しめられ多くの人が死亡しました。コレラ菌も有毒な細菌のひとつでしたが、細菌の発見した先駆者や貢献者の歴史をご紹介します。

 

1674年 アントニ・ファン・レーウェンフックが細菌を発見

 
「微生物学の父」の称号を持つオランダの呉服商アントニ・ファン・レーウェンフックは、自分で作製した266倍率の顕微鏡で糞便の中の多くの細菌を発見しました。
 
レーウェンフックは生涯で500以上の顕微鏡を自作して精力的に観察を行って結果を残しました。
 
レーウェンフックは、42歳の時に自宅の庭にある池の水を自作の顕微鏡で観察し奇妙な動きをする微少な生物がいることを人類史上はじめて発見し微少動物と名付けています。その後、身の周りの様々な物を観察しました。
 
水の中に生息している微生動物が人の体に有害か無害かはレーウェンフックにはわからなかったでしょう。しかし、奇妙な微小動物は歓迎すべき存在だとは思わなかったに違いありません。
 
彼が顕微鏡でノミの針やシラミの足、ハエの脳髄や植物の種子の内部など多くの物を観察して、ロンドンの王立協会に50年以上も手紙で報告をしています。
 
中でも1677年に発見した精子は人々を驚かせ、ロシアのピョートル大帝やイギリスのジェームス2世などの有名人が彼の顕微鏡を覗きに来たという記録が残っています。
 
また、歯の歯垢を観察していましたが、ある朝熱いコーヒーを飲んだ後に歯垢を観察したところ、いるはずの微小動物がいなくなっていることに驚いたという記録が残っていますが、熱で口腔の細菌が死滅してしまったと考えられます。
 
これらの研究では、多くの球菌や桿菌、らせん菌などの形状の細菌を発見しました。
 
フックは当時としては稀な90歳の長寿を全うしています。

 

 

レーウェンフックは細菌の先駆者ともいえますが、顕微鏡の磨き方などの技術を秘密にしていたため細菌研究の本格化は200年後の1876年のコッホの純粋培養まで待つことになります。
 
同郷の画家で1675年没の「真珠の耳飾りの少女」で有名なヨハネス・フェルメールの遺産管財人になりましたが、フェルメールの絵画「天文学者」と「地理学者」は、このレーフェンフックがモデルといわれています。

 

 

 

1862年 パスツールは初の低温殺菌法の実験を行った

 
「近代細菌の祖」として知られるフランスのルイ・パスツールは、フランスの医師クロード・ベルナールと共同で摂氏60℃程度の過熱温度で殺菌を行う低温殺菌法を牛乳やワインで初めて行いました。
 
また、パスツールは、脳卒中で半身不随になり、不自由な身になりつつも研究を続け、カイコの卵への原生生物感染を突き止めて、微粒子病を防止する道を開きました。
 
更に、空気と接すると死滅する嫌気性菌を発見しました。

 

1876年 コッホは細菌の純粋培養に成功

 
ドイツの医師ロベルト・コッホは、様々な菌が混在する中から一種類の細菌のみを抜き出して培養する純粋培養において成功し、炭疽菌の純粋培養を行いました。
 
1882年にはコレラ菌を発見、更に1890年には診断に活用されているツベルクリンを発見しています。コレラ菌のことを英語ではツベルクローシス(Tuberculosis)といいます。
 
結核菌の研究業績や細菌分類学の基礎を開いた功績で1905年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。 
 
 
結核は日本では明治初期に労咳と呼ばれて多くの人が亡くなった感染疾患でしたが、世界では後進国の低所得者層で患者が多く、適切な予防接種や治療ができなくていまでも死亡率の高い疾患です。
 
細菌も生き物ですので子孫残すために必死に生き延びようとさまざまな工夫もします。最近、問題になっているのが、これまでの薬(抗生物質)が効かない薬剤耐性菌が増えていることです。
 
たぶん、人類と細菌やウイルスの戦いは終わることはないでしょう。

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