腸内フローラ辞典

カイコを使って高い乳酸菌「11/19-B1」株を発見

 

カイコを使って高い乳酸菌「11/19-B1」株を発見

 

カイコ(蚕)を活用して、人の免疫を高める乳酸菌を探求した研究を記事にしたものです。

 

カイコは、カイコガ科に属するが(蛾)の一種でカイコはカイコガの幼虫の名前です。

 

カイコは、数千年前から世界各地の養蚕の文化とともに生きてきた昆虫で絹糸の生産性を高めるために品種改良が繰り返されてきました。

 

有史以来、家畜として飼われてきた昆虫のカイコは「免疫生物研究所」の研究で医療用のたんぱく質の生産やヒトコラーゲンとして化粧品にも応用されています。

 

 

 

 

カイコを使って乳酸菌の免疫力を計測

 

カイコを使って乳酸菌の免疫力を計測 

 

カイコを使って乳酸菌の免疫力を計測する手法を東京大学大学院薬学系研究科の関水和久教授が開発しました。

 

乳酸菌の菌種は数百種類といわれ、ヨーグルトに至っては7500種類以上もあるとされています。

 

腸内細菌には、健康に有効に働く善玉菌や有害な働きをする悪玉菌、その中間の日和見菌があり、これらの細菌が腸内の細菌群を構成しその全体を腸内フローラと呼んでいます。

 

腸内フローラには、天文学的な数の腸内細菌が生息しているといわれています。

 

乳酸菌は、腸内の善玉菌のエサとなり善玉菌の働きを活性化させて悪玉菌の活動を抑える作用があり善玉菌が活発に働いていれば免疫機能も高いことが分かっています。

 

乳酸菌は、ヨーグルトの他にも納豆やお味噌などの発酵食品などにも含まれています。

 

自然免疫システムが人とカイコが同じことを発見

 

関水和久教授は、生物に生まれながらに備わっている自然免疫システムが人とカイコは同じであることを突き止めました。

 

人とマウス、そしてカイコは体重当たりの薬の治療有効量がほぼ同じであるためマウスのようにカイコも人の治療薬を開発する段階で評価モデルとして活用できることがわかったのです。

 

カイコは免疫力が高まると筋肉が収縮する反応をみせることから、カイコにさまざまな乳酸菌を注射して筋肉の縮み具合を検査することで乳酸菌の免疫力の高さを測ることに成功したのです。

 

免疫力の高い乳酸菌「11/19-B1」株を発見

 

カイコを使って様々な乳酸菌を検査する中でキウイの表皮についていた「11/19-B1」株という乳酸菌が免疫力を高めることがわかりました。

 

この「11/19-B1」株は、福島県の東北協同乳業がヨーグルトとして開発、製品化しており購入することができます。

 

黄色ブドウ球菌に有効な抗生物質カイコシンも発見

 

また、関水教授はカイコを使って黄色ブドウ球菌に有効な抗生物質カイコシンを全国の土壌から収集した1万5000株の細菌の中から発見しています。

 

黄色ブドウ球菌は、悪玉菌の代表格で食中毒を引き起こしたり水虫やおできなど化膿性疾患の原因になる菌です。

 

関水教授は、評価生物のカイコを発見するまでに、ショウジョウバエ、線虫、金魚、ミミズ、ナメクジ、カエル、グッピー、サソリなど様々な生き物を試したそうです。

 

東北共同乳業株式会社 

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